2015年4月22日水曜日

「カウンセラーのためのセクマイ基礎知識」のご報告

4月15日に、、カウンセリングオフィス+αにて、「カウンセラーのためのセクマイ基礎知識」というワークショップの講師をさせていただきました。

今回は、参加要件として、「カウンセリングや心理学を学んだ経験のある方」が対象となっていますので、最初は珍しく少し緊張をしていました。



カウンセラーのためのセクマイ基礎知識1
カウンセラーのためのセクマイ基礎知識2
カウンセラーのためのセクマイ基礎知識3



そもそも、このお話の依頼は、主催者のおふたりが5%もセクシュアルマイノリティの方がいるのであれば、相談者の20人に1人はいるのだから、知識として知っておく必要があるという前提のもとで企画されたものです。
実際には、相談者の20人に1人がその相談をしてくるというのは想定し難いのが現状です。
なぜなら、当事者が当事者であることを言い出しにくい現状があるからです。
性に関することやセクシュアルマイノリティに関することはタブー視される傾向があり、直接悩みとして告白しにくい環境にあります。
しかし、相談者の5%がセクシュアルマイノリティである可能性は同じようにあります。
ほかの相談内容を聴いていく中で、カウンセラー側が心を開き、安心感を与えていけば、相談者は重い口を開き始めます。
そういうカウンセラーであってほしいという願いがボクにはあります。
そこで、ボクを抜擢してくれたのであれば、しっかりお話をしたいと思いました。

前半は、主に、ボクがセクシュアルマイノリティに生まれ、何を感じ、どうやって罪悪感や自己否定感を乗り越え、セクシュアルマイノリティ専門のカウンセラーになっていったかを、当事者の1例としてお話しました。

後半は、セクシュアルマイノリティの定義、カテゴリーの説明、ほかのマジョリティと違う独特の心理の働き、カウンセラーとしての寄り添い方を丁寧にお話させていただきました。

以下、参加されたみなさまの貴重なご感想です。



【Tさん】「ああ、そうなんだ」という発見がありました。
実際に知り合いに同性愛の方やバイセクシュアルの方がいて、正直、垣根を感じないんですが、タブーという言葉を使うとすれば、セクシュアルマイノリティの人たちはタブーなのかそうでないのかすごく微妙なところにいるのかな、と思いました。
TVをつけたらいっぱい当事者の人がいる中で、もしかしたら、本人が思っているよりも僕らは軽く考えてしまっているのではないかと思いました。
僕らがどう捉えるのかではなく、本人がセクシュアルマイノリティに対して自己否定感や罪悪感を抱えている傾向が高いんだということを知ったうえで関わっていなきゃいけないんだな、ということをあらためて感じました。

【Hさん】「気持ち悪い」ということについて引っかかっています。
それを言う人が悪いと思うし、言った人に対して怒りの気持ちを持つとか恨むというのではなくて、「自分が悪い」って思うというのがすごく心に残っています。
カミングアウトのときに「同性愛者であるということを無視しないで欲しい」と豆腐さんが言ったことも心に残っています。
しらずしらずのうちに大多数の考え方をしているんだけれども、少数派の方から見ると、良かれと思って言ったことが傷つける場合もあるというのが心に残りました。

【Hさん】正直、難しいと思いました。
これだけじゃなくて、すべてにおいて人と関わるうえで大切なことを無意識の中でやっているのに、少数派のことになると次第に偏見が出てきたりとか、少数なものにほど目を向けないっていうのがあるように思いました。
人のせいにするのが普通なことを、自分の中に原因があると思ってしまう、普通の言葉ではこう捉えるんじゃないかということがきっかけで、自分自身が形成されてしまっているという傾向がセクシュアルマイノリティにはあるので、こういう場面に出くわしたときはひとつずつ一緒になって共感していけるようになれたらいいなと思いました。

【Eさん】カミングアウトしてくれた人に対して偏見を持たないようにしているし実際に偏見はあまりないのだけれど、セクシュアルマイノリティであることを正直に表明することがその人にとってはそのまま受け止めて欲しいから、「セクシュアルマイノリティであるかどうかは関係ないんだよ」ということがその人を傷つけてしまう場合があるということにちょっとショックを受けました。
良かれと思ってした対応が、必ずしも相手のためになっているとは限らないというのが、本当に難しいと思います。
丁寧にどんなことを感じているのか、求めているのかを、うかがっていくということは、マイノリティの方かどうか関係なく関わっていくことはすごく深いものなんだなと感じました。
「偏見を持たないように」「普通に接しなければ」というのがすでに垣根を作ってしまっているというのを感じたので、それに気づけただけでもすごくよかったと思いました。

【Oさん】初めて豆腐さんという同性愛者の方と出会って、そのころカウンセリングを学び始めていたので、Facebookやブログに「こんな人と出会った」ということを書き始めたら、自分の周りの同級生が「実は私もそうだった」とカミングアウトしてくれたり、そうでなくても友だちにそういう人がいる人たちが増えてきて、セクシュアルマイノリティの人たちにもっと関わっていきたいということを表明したことによって、当事者やその周りの人たちが集まってきて、すごくいいことだと思っていました。
ただ、表明したはいいけれど、そんなに知らないっていうのが本当のところで、こんなにしっかりあらたまって豆腐さんに聞いたことはなかったので、すごくよかったと思いました。
もともとカウンセリングを学ぶまでは自己肯定感がとても低かったので、「気持ち悪い」とかネガティヴな言葉をかけられると、「そうだよね、ごめんね」って思う方だったので、自分は当事者じゃないけれど、「当事者じゃないからわからない」ではなくて、自己否定感の部分で寄り添えたり、いろんなアプローチで寄り添ったり、一緒に歩いて行ける道があるんじゃないのかと思えました。




カウンセラーのためのセクマイ基礎知識4
カウンセラーのためのセクマイ基礎知識5



今回は貴重な機会だったので、ボクの意見がセクシュアルマイノリティの意見にならないようにいちばん気を配りました。
当事者の多くは、自分が当事者であることを隠していかなくてはならないことを余儀なくされている方がほとんどで、残りの方のうちのほとんどは自分が当事者であることを受け入れそれをカミングアウトしてきちんと不公平さや不平等に権利を唱えていく人になっていくことを認識していただきました。
そのうえで、ボクは「自分らしく」生きていくこと、「マジョリティと共存」してちゃんと社会に参加していくことを目指す当事者を応援していきたいと思っていることなどを話しました。

みなさんが、ものすごく真剣に参加してくださって、セクシュアルマイノリティの理解を深くしようとする姿に感動すらしました。
あらためて。カウンセラーとして原点に立ち返って、再度ボクもいろいろ学ばせていただきました。
このワークショップができたことをすごく嬉しく思いました。

6月には、同じ内容で休日開催が決まりそうです。
とても嬉しい限りです。

参加者のみなさん、本当にありがとうございました。
そして、この開催を決めてくれた、おのちゃんと愛子さんに深くお礼申しあげます。

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